最近リリースされたばかりのスマホアプリ、「アークナイツ」のプチレビュー&インプレ。
タワーディフェンスは久しぶり
ガチャありのスマホアプリにはもう手を出さないつもりだった。
しかし、アズレンのYostarが日本でサービスインし、ゲーム内容はタワーディフェンスだという。
※本家の中国版は2019年4月、日本版は2020年1月から開始
→日本公式
タワーディフェンス(TD)系は好きだし、絵柄も良いのでとりあえずインストールしたところ、見事にハマってしまった。
▲私のお気に入り絵師は下野宏铭さん(中国の方?国境を感じない)
▲イベントの無償配布キャラでもこの可愛さ
▲UIもかなりスタイリッシュでセンスの良さが光る
TDに関しては、Blizzard社(現Activision Blizzard)のWacraft3のカスタムマップで散々遊んた経験がある。
当時はこのWarcraft3用の新しいTDマップが毎週のように出てきて本当に面白かった。
ただ、遊びつくした感(もう新しいものは出てこない感)があって、その後はそれほどTDをプレイしていない。
実際、劣化コピーみたいなタイトルが多かった。
それで「最近のTDはどうなっているのかな」という興味もあり、アークナイツをプレイしてみたところ、予想以上によくできていて感心した。
ちなみに、私のお気に入りのTDタイトルはこのあたり(結構古いかも)。
- Dungeon Warfare(2015年)
- 王道的TDで完成度高め→公式トレイラー
- Desktop Tower Defense(2007年)
- 迷路作成系の定番→プレイ動画(参考用)
- Orcs Must Die!(2011年)
- TPSとTDを融合した名作→公式トレイラー
タワーディフェンス補足
TDの元祖はBlizzard社のRTS、StarCraft(1998年)のカスタムマップ。それがWarcraft3(2002年)で開花した。これらのソフトには高機能のマップエディターがついていて、それを駆使してユーザーがいろいろなゲームを作って配布していた。TD系はそのひとつ。DoTA系も元はこのWarcraft3のカスタムマップである。
参考動画
StarCraftのタワーディフェンスの一例(ボリューム注意)↓
Warcraft3のポピュラーなTDの一例↓
Warcraft 3 のTDの一例(迷路作成要素あり)↓
TDとしてのアークナイツ
一般的なTDの話で言うと、アークナイツの基本はこんな感じ。
- ステージクリア型(有限Wave、固定ルート)
- 通路侵入型(一部ステージでは障害物を置いてジャグリングも可)
- 時間経過でリソースが増えるタイプ
- 敵が攻撃してくるタイプ
- 設置数やアップグレードで押していくタイプではなく、クールダウン系のスキルをタイミングよく使って切り抜けるタイプ
特長や魅力をできるだけ言い切ってみると以下の3つ。
- タワーの替わりにRPG風キャラクターを設置し、役割分担で守るヒーローディフェンス系(ただし、キャラの移動は不可なタイプ)
- 配置数制限やコスト制限により、パズル的面白さ。編成や育成面にも奥行きあり
- クールダウンスキル発動やキャラスワップ等でRTS的なミクロマネージメントが楽しめる
RPG風キャラクターでディフェンス
タワーの替わりにRPG風キャラというのは「クリスタルディフェンダー」や「ディフェンスウィッチーズ」「風雲!大籠城」等、かなり前からあるのでご存知の方も多いと思う。
一般的なTDでは、対地、対空、移動速度低下、範囲攻撃などタワーの種類にバリエーションがあり、それらをうまく組み合わせて防衛するのが基本となる。
これを剣士(対地)、アーチャー(対空)、魔法使い(範囲攻撃)のようにファンタジーRPG風キャラにうまく置き換えているということだ。
アークナイツの場合は、ベースはスマホアプリのガチャゲーなので、さらにキャラクター寄りの作りとなっている(同キャラを複数所持することはできない仕様=同じタワーを複数設置不可という仕様)。
ガチャやイベント報酬、ストーリー加入などでキャラを増やしつつ、それらを育成してステージに合わせてピックアップする(編成を組む)というスタイル。
実際のバトルをざっくり言うと、敵の進行してくる場所を壁役で塞いで、周囲に火力キャラを配置し、それらをヒーラーで回復するといった具合。
飛行する敵にはアーチャー/ガンナー系が必要になるとか、敵によっては物理よりも魔法が有効で魔法使いが活躍するといった風に、火力キャラでも適材適所の使い分けが重要になってくる。
また、各キャラごとにクールダウンスキルやパッシブスキルなどが用意されている。
このあたりはWarcraft3のヒーローシステムの影響大。
キャラ固有のユニークなスキルも多く、ステージによってはそれが絶大な効果を発揮したりして面白い。
TD初心者が攻略動画等を見ると「こんなクリア方法があったのか!」と驚くに違いない。
コスト制限と配置数制限
アークナイツが特にユニークだと思うのが、コスト制限と配置数制限。
丁寧に説明すると長文になるので超ざっくり。
- 一般的なTDでいうタワーを設置するためのリソースが、アークナイツでのコスト
- コストは戦闘開始後、毎秒1ずつ増えていく仕組みで、ステージによって開始時のコスト値も変わる
- 各ユニットごとに配置するための消費コストが決まっている
- このコストは職種とレアリティによって違う
- 高レアキャラ=高コスト、低レアキャラ=低コストの傾向あり
-
- 敵にやられるとコスト返還なし、自分で撤退させるとコスト1/2返還
- 敵にやられたり、自ら撤退させた場合も、一定時間後に再配置できる(死んだら終わりではない)
- 編成は12体、一度に場に出せるのは通常8体まで
- コストを増やすスキルを持った「先鋒」という職種も用意されている
おそらくスマホの狭い画面でどう楽しませるかということで出来上がったのだと思うが、パズル的にキャラを入れ替えるタワーディフェンスに仕上がっている。
また、このコスト制限により、低レアリティのキャラにも使い道があるというのが良いところ。このあたりはアズレンと通じるものがある。
RTS的ミクロマネージメント
アークナイツでは、キャラをタップするとゲームがスローモーションになる。
この機能を活用すると、「敵がすり抜けるギリギリのタイミングでユニット配置」、「あと一撃でやられてしまうところで撤退」「ここぞというタイミングでのクールダウンスキル発動」といった細かい操作が割と簡単にできる。
このミクロマネージメントはTDやそのベースとなっているRTSの魅力のひとつだと思っているのだが、それをスローモーションという形で入れることで敷居を下げているというのが秀逸。
アークナイツの開発者にシンパシーを感じてしまった。
スマホアプリとしては?
- スタミナ制
- キャラガチャ
- 課金石でスタミナを回復させたり、ガチャを回すタイプ
- キャラ育成には鬼周回が必要
テンプレ的課金アプリ。
基本的に私は課金ガチャのゲームについては否定的。
アークナイツも家庭用の買い切り型だったら最高だと思っている。
ただ、たくさん課金する予定はないので、逆に文句を言うのはどうかなという自己ツッコミもあり(笑)
全体的には、以下の5点が高評価。
- 対人戦やランキングが一切ない
- スタミナ消費なしで挑戦できる「演習」システム
- 無償で手に入る低レアリティキャラでもクリア可能な絶妙なバランス
- 周回用のオート機能(自動周回)
- 微課金向けの商品(月パス)
▲購入すると、毎日、スタミナ回復薬やガチャ用トークンが少量もらえるという「月パス」(30日間)。120円の初心者応援パックというものもある。財布の紐を緩めるのがうまい
演習システムが素晴らしい
特筆しておきたいのが「演習」というシステム。
ステージ攻略型のTDは、出現する敵の種類や、マップのどの位置からどのタイミングで出てくるかなどを知らないと、全く勝てないことが多い。
スタミナ消費系のスマホアプリとの相性は最悪である。
そのままだとほとんどの人が攻略方法を事前に調べて、それをなぞってプレイするだけになってしまうだろう。
そこでアークナイツでは「演習」という仕組みを用意した。
- 文字通りの練習で、スタミナ消費なし
- 1日30回まで「演習」可能。この回数は毎日リセット(朝4時)
- ただし、勝ててもクリア扱いにはならない
そのため、ステージ攻略は「演習」で慣れてから、スタミナを消費して本番に挑むという流れ。
カジュアルゲーマーなら1日30回も消費しきれないし、これだけあれば気軽に挑戦、自力で挑戦という気分にもなる。
もちろん、自力で攻略できれば楽しさ倍増。
買い切りのタイトルでは当たり前にできることなので褒めすぎてもいけないと思うが、それすらできないスマホアプリが多い現状では、英断と言っていいだろう。
ちなみに、本番でもゲームオーバーになる前に「撤退」を選ぶと、スタミナの一部が還ってくるという優しいシステムになっている。
そのため、基本的にスタミナは育成用の各種素材を集めるために使うことになる。
で、その育成のためのオート周回機能が便利でユニーク。
アークナイツではノーミスでクリアすると自動周回が解禁となる。
これはクリアした時の編成と実際の操作が記録され、それを再生するという感じの仕組み。
いわゆる本格的なマクロ機能が搭載されている。
これで育成のための素材集めも「ながらプレイ」で可能。
スキップチケットの類は味気がないので個人的にはこれぐらいが好み。また、クリアするだけでなく、安定周回用に詰めていくという感じになり、これもまた面白いと思う。
気になる点や要望等
- コンテンツ不足感とシナリオの微妙感
- サービス開始時のストーリーは4章まで。先行する本家中国版もまだ6章までしかない
- ストーリーのテキストの量と質が物足りない
- キャラ掘り下げの常設サイドストーリーが欲しい(キャラはシナリオで固定。自分のキャラは出せないタイプ。詰め将棋的面白さとストーリー体験)。
- ローカライズ版の宿命(中国版が本家、9ヶ月先行)
- 追加されるコンテンツやキャラが既にわかっているのはゲームの魅力大幅減。しばらくすると、実装時期ぐらいしか話題がなくなる
- この問題点に気づかない&何もできない運営だと、リアルイベントとか、グッズ販売とかに走ることになる
- 個人的には日本の売上が本国の開発加速や新コンテンツ追加につながることを願っている(微課金ですがw)
- イベント難易度のバランス(舵取り)
- 毎回新規に合わせるとベテランには簡単すぎてイベント攻略がどんどん空気になる
- 毎回難易度を上げていくと、新規がクリアできなくなり脱落する
- イベント報酬は美味しいけれど、テンプレ化ですぐにマンネリになるというイメージ
- 育成と攻略が分離している点
- ゲーム内容的に育成と攻略を切り離すのは正しい判断だと思う(場に出さないと経験値が入らないといったシステムだと厳しい)
- しかし、長くプレイを続けると、育成素材をストックしておいてガチャでいいキャラ出たら即日育成完了という流れになりそう(好感度上げぐらいしか残ってなくて味気ない気がする)
- たとえば、新キャラとセットで試練マップ(高難易度)を追加して、クリアすると性能微増みたいなやりこみ要素があると面白いかもしれない(もちろん、そのキャラの出撃が必須)
コメント