武器の性能を評価する時や、リロールする際に理解しておきたい「武器の仕組み」についての解説。「入門講座 攻撃力の上げ方」では、武器に関してそれほど詳しく書いていないので、併せてこちらも読んでみてほしい。
まとめ
- 武器の基本性能は、最小ダメージ、最大ダメージ、秒間攻撃速度の3つで決まる
- 武器の基本性能を示すのがDPS(1秒当たりの平均ダメージ)
- DPSは、(最小ダメージ+最大ダメージ)/2×秒間攻撃速度で算出される
- 武器の総合性能は、武器DPSに反映されないメインステータス、ソケット、クールダウン時間短縮、リソースコスト減少なども含めて判断する
- レジェンダリー、レア、マジックといった魔法の武器は、普通の武器+魔法効果で生成される
- 武器の基本性能に影響を与える魔法効果(特性)は3つ
①追加ダメージ
②攻撃速度+X%
③ダメージ+X% - 攻撃速度が意味を持たないスキルを使う場合は、攻撃速度込みのDPS値ではなく、平均ダメージをチェックしたほうがよい
武器の総合性能と基本性能
まず最初に武器の「総合的な性能」と「基本的な性能」の違いについて。
武器の基本性能というのは、武器のDPSを指す。
それは結局何かというと、武器の最小ダメージ、最大ダメージ、秒間攻撃速度。
この3つの数値のことである。
※DPS=Damage Per Secondの略。1秒間に与えるダメージの平均値(指標)。
計算式=平均ダメージ×秒間攻撃回数
平均ダメージ=(最小ダメージ+最大ダメージ)/2
先の例
(1207 + 1631) / 2 * 1.4 = 1986.6
最小ダメージ、最大ダメージ、秒間攻撃回数の値が違えば、武器のDPSは変わる。
逆に言うと、この3つの数値に影響を与えないものは、武器の性能とはみなされない。
例えば筋力、敏捷性、知力はキャラクターのダメージを上昇させるメインステータスである。攻撃力のメカニズムを少しでも理解していれば、メインステータスのついてない武器を敢えて選ぶ人はいないだろう。しかし、この筋力、敏捷性、知力は、武器の基本性能としてはカウントされない。メインステータスを高めればキャラクターの攻撃力は上がるが、武器の最小ダメージ、最大ダメージ、秒間攻撃速度には影響を与えないからだ。同じようにソケットや、クールダウン時間短縮、リソースコスト減少など、実際に役立つ重要な特性であっても、それは武器の基本性能と無関係ということになる。
もちろん、これは切り口の違いに過ぎない。どちらも重要なので、基本性能と、その他を含めた総合的な評価が必要になる。ここから先は、武器の基本性能という細かな話をしていくが、この点は忘れないようにしてもらいたい。
普通の武器+魔法効果=魔法の武器
Diabloシリーズは、ベースアイテムに魔法の効果が加わってマジックアイテムになるという方式を採用している。いわゆるエンチャントである。
現在はマジックアイテムだけでなく、レアアイテムだとか、レジェンダリーアイテムが加わったため、用語的にゴチャゴチャしてしまうのだが、仕組みはどれも一緒である。
一例を挙げよう。
レベル70の片手用の剣のベースアイテムは、ウェーブ・ブレード(Tsunami Blade)という。
ウェーブ・ブレード(Tsunami Blade)
最小ダメージ168
最大ダメージ392
秒間攻撃速度1.4
この武器の性能(DPS)は ( 168 + 392 ) / 2 * 1.4 = 392。
これがレベル70片手用の剣の基本スペックだ。
あまりの性能の低さに驚いたかもしれない。 それだけ魔法効果が強力ということである。
同じように他の武器もベースアイテムがそれぞれあり、最小ダメージ、最大ダメージ、秒間攻撃速度が決まっている。公式サイトのアイテムデータベースに全部載っているので、調べたいものがあれば、Normal(ノーマル)という種類をチェックしてもらいたい。
なお、 公式サイトのデータは若干の幅があるように書かれているが、低い方の数値がおそらく正しいと思われる。
追加ダメージ
次にベースアイテムに+αという形で魔法のアイテムが出来上がっていることを確認してみよう。
・至高の職人のウェーブ・ブレード(Sovereign Tsunami Blade)
このクラフトアイテム(レアアイテム)は、ベースアイテムの「ウェーブ・ブレード」に、4ー6個の魔法効果(特性)が加わるというものだ。
冒頭でサンプルとして載せた武器は、このクラフトアイテムである。
生命力やクールダウン減少など、いくつかの魔法効果(特性)がついているが、基本性能に影響を与えるのは、このサンプルの場合はひとつだけ。武器DPSの下に列挙されている性能欄の一番上、青字で「+1039-1239ダメージ」というやつである。
正式名称は不明だが、筆者は「追加ダメージ」と呼んでいる。
この「追加ダメージ」は武器の基本性能に影響を与える第一の特性である。
■確認
ベースとなる片手剣の最小最大ダメージは、168〜392。
これに1039〜1239が追加されるので、
168+1039 = 1207
392+1239 = 1631
この武器のダメージ幅は、1207〜1631ということである(実際のゲーム画面とも一致)。
念のため、このアイテムの「+1039-1239ダメージ」という特性を秘術師を使ってわざと削ってみよう。
画面左下を見てもらうとウェーブ・ブレードのベース値と全く同じになっていることがわかるはずだ。魔法のアイテムから、魔法効果(追加ダメージ)を取り除いてしまったので、普通のアイテム(ベースダメージのみ)になってしまった、という訳である。
レアアイテムでも、レジェンダリーアイテムでも、エンシェントレジェンダリーでも、仕組みは全く一緒である。片手用の剣であれば、ベースアイテムは、この「ウェーブ・ブレード」になる。
ただし、付与される追加ダメージの幅(可変値)はそれぞれ異なる。
クォリティ | 最小値 | 最大値 |
---|---|---|
レアアイテム | 853-1043 | 1022-1296 |
レジェンダリー | 981-1199 | 1175-1490 |
エンシェント | 1318-1560 | 1609-1940 |
エンシェント版の武器が高DPSなのは、この追加ダメージの値が大きいためである。
「ダメージ+X%」と「攻撃速度+X%」
「追加ダメージ」の他にも、基本性能に影響を与える特性が2つある。
「ダメージ+X%」と「攻撃速度+X%」の特性である。
「ダメージ+X%」は、武器のダメージの底上げ、「攻撃速度+X%」は武器の秒間攻撃回数を補正する。
①「ダメージ+X%」
計算式 平均ダメージ×(1+X/100)
例 ダメージ+10%
平均ダメージ * 1.1
②「攻撃速度+X%」
計算式 秒間攻撃回数×(1+X/100)
例 攻撃速度+7%
秒間攻撃回数 = 1.4 * 1.07 = 1.498
クォリティ | ダメージ% | 攻撃速度 |
---|---|---|
レアアイテム | 5-8% | 5-6% |
レジェンダリー | 6-10% | 5-7% |
エンシェント | 6-10% | 5-7% |
例 エンシェント片手剣
追加ダメージが最も高い場合(先述の例)
最小ダメージ1728
最大ダメージ2332
秒間攻撃速度1.4
→平均ダメージ 2030 * 1.4 = 2842 (DPS)
ダメージ+10%、攻撃速度7%が追加された場合
2030* 1.1 * 1.498 = 3345 (DPS)
以上で基本的な説明は終了だ。
だいたいわかってもらえたと思うが、どうだろうか。
念のため書いておくと「追加ダメージ」「ダメージ+X%」「攻撃速度+X%」は、最小ダメージ、最大ダメージ、秒間攻撃速度、武器DPSに影響を与えるので、ゲーム画面では織り込み済み。理解のためいろいろと計算方法を説明してはいるけれども、実際に計算せずとも見ればわかるようになっている。
補足情報いろいろ
他の記事で書いたことも含め、武器関連の補足をしておく
表記DPSの落とし穴
攻撃速度が速ければその分手数が増えるのでダメージが増える、というのが基本ロジック。だからこそダメージ指標がただの平均ダメージではなく、秒間平均ダメージ(DPS)になっている。しかしながら攻撃速度にはいくつかの落とし穴がある。
①攻撃速度の恩恵がないスキル
クールダウン系や継続ダメ―ジ系は攻撃速度の恩恵を受けない。
クールダウン系はわかるとおりタイマー式なので、攻撃速度が速くても手数は増えない。クールダウン短縮率がいわば攻撃速度のようなものである。
同じく継続ダメージ系スキル(DoT系)も、攻撃速度が無関係となっている(ダメージ計算に攻撃速度が盛り込まれていない)。
そのため、これらのスキルで戦うなら、攻撃速度込みのDPS値ではなく、武器の平均ダメージに注目するのが正解となる。わかりやすく言うと、特性で「攻撃速度+X%」を積むと表記DPSは上がるが実際にはダメージは増えないので注意。
②ブレイクポイント
攻撃速度補正を積んでも実際の攻撃が速くなるとは限らない、という話。初心者はあまり気にしなくてOK。
攻撃速度に応じてスキルのフレーム数が短くなっていくという仕組みだが、その細かい計算で端数が出た場合は、フレーム数が短くなる/ならないという0か1かの処理が行われる。
その結果、「攻撃速度+X%」を積んだにも関わらず、切り捨てられてしまい、実際には速くならないというケースが発生することもある。そのため、攻撃速度関連を活用するなら、きちんと計算やD3Plannerで確認したほうがよい。
武器の特性は何を選べば良いのか
全然わからないという人向け。
(最終決断は各自でよろしく)
基本形
・追加ダメージ
・メインステータス
・ソケット
※「ラマラドニの贈り物」があれば、ソケットを「ダメージ+10%」などにする
ラマラドニ前提
・追加ダメージ
・メインステータス
・ダメージ+10%
残り1つは各自で決める
■残り1つの有力候補
・範囲攻撃
・攻撃速度
・クールダウン時間短縮
・リソースコスト減少
・生命力
・命中時にライフ回復
※ソケットは「ラマラドニの贈り物」でつける
リロール 追加ダメージ vs ダメージ+X%
理想的な性能の武器が手に入ることは滅多にないので、あれこれリロールすることになる。
よくある悩みは「追加ダメージ」をリロールして可変値を良いものにするか、それとも何かを削って「ダメージ+X%」をつけるか、というものだろう。
■一般的なケース
追加ダメージのリロール vs 「ダメージ+10%」の追加 → 「ダメージ+10%」の圧勝
しかし「ダメージ+10%」をつければ、当然、特性1枠を使ってしまう。
■追加ダメージが非常に低いケース
こういった場合は、有用な特性を一個削ってまで「ダメージ+10%」をつける価値なし。「追加ダメージ」のリロールは大変だが、粘れば同じぐらいまでDPSは上がる。
たとえば、最初からついているソケットをリロールし、「ダメージ+10%」にして、ラマラドニでソケットをつけるところを「追加ダメージ」をリロールすれば、DPSは同じくらいまで上がるので、ラマラドニ1個無駄にしなくて済むという具合。
ただし、「追加ダメージ」をリロールしてしまうと、後で別の種類のものに変えられない。この点は注意が必要。
追記:現在はプライマルもあるので、こういった武器をリロールしてまで使うことはもうないかもしれない
■計算ツール
→paragoncalculator
→Reroll Calculator
→自作の計算機
ここの解説を全部読んだ人なら、自分で試算することもできる。
自分で計算してみたい人向けの情報
以下の3つを比較すれば良い
①現在のDPS
②「追加ダメージ」をリロールした時のDPS
③「ダメージ+X%」をつけた時のDPS
■「追加ダメージ」のリロール計算
事前に以下の2つを調べる必要がある
A.ベース武器の最小ダメージと最大ダメージ
→公式サイトのデータベースでわかる
B.リロールする武器の「追加ダメージ」のレンジ
秘術師のところで確認できる
ベース最小値、最大値、リロール後の最小値、最大値(自分の想定値)の計4つの数値を合計して2で割る=新しい平均ダメージ
あとは普通に、秒間攻撃速度を乗算し、DPSにする。
■「ダメージ+X%」の計算
現在の武器の平均ダメージを出す
現在の平均ダメージに「ダメージ+X%」を乗算するだけ。
「ダメージ+10%」なら1.1
あとは普通通り、秒間攻撃速度を乗算し、DPSにする。
終わったら3つを比べれば良い。
武器につく攻撃速度と防具につく攻撃速度
武器につく「攻撃速度+X%」は、先に説明したように、ベース秒間攻撃速度を補正。
武器以外につく「攻撃速度+X%」は合算し、その値を武器の秒間攻撃速度に乗算
片手剣の攻撃速度は1.4がベース値
武器に攻撃速度+6%がついていたら、1.4 * 1.06 = 1.48
武器以外の攻撃速度が合計で20%なら、1.48 * 1.2 = 1.78
(攻撃速度を稼ぎたいなら、武器に攻撃速度補正がついていたほうが良い)
追加ダメージの属性
追加ダメージの物理とか神聖といった属性は、使用するスキルの属性で上書きされる。
自分が火炎特化だからといって、ここが火炎のものを探したり、火炎にリロールする必要はない(火炎にしてもダメージは増えない)。
ただし、例外がいくつかある。
レジェンダリーアイテムの「ウィルドウォード」は、追加ダメージの属性が稲妻の場合で、かつ「通常攻撃」であれば、スタンが発生する。プレイヤーキャラクターが使うのは現実的ではないが、従者の場合は逆にこれが役立ったりする。
→「入門講座 従者(フォロワー)の活用方法」
スキルの説明欄に出てくる「武器ダメージ」とは?
この記事では説明を省略しているが、正確には「武器」「アミュレット」「指輪」「魔力の源」、「魔除け」につくX-Yダメージを集計したもの。
仮に、武器が1-6ダメージ、指輪が1-2ダメージ、魔除けが1-3ダメージなら、ダメージは3-11。
この数字がダメージ計算のベースになる。
武器ダメージ300%と書かれていれば、3倍ということ。
上記の例で言えば、ダメージ3-11の3倍なので、9~33になる。
(実際はこれにメインステータスによる補正などの様々な補正が掛け合わされて最終ダメージになる)